このパンツは買い直し続け、初めて履いてから10年以上経つ。古くなったものは草刈りや沢登り用にと、汚れてナンボのフィールドに移籍していった。
初めの一本を買ったのは三宮の好日山荘だった。
勤務地の近くに、一軒家でされていた頃のファイントラック本社があって、多分通るたびにロゴの入った看板が目に入っていたのだと思うんだけど、あの青と白のロゴを店で見た時、これは買わな!と思った。
当時から国産の商品をなるべく買わなきゃと思っていて、ファイントラックが国産のものをたくさん出していることがわかり、それも買い続ける動機になっている。
初めて履いた時の感触や、動きやすさに驚いたことは覚えている。日本人体型の私が裾直ししなくて着られたことも嬉しかった。
ある時仕事で相談を受けていたおじいちゃんに山で出会い、その人も同じパンツを履いていて、後日その話で盛り上がった事も覚えている。
ある時穴が空いたので、自分で治そうと生地を送ってもらい縫い合わせた。その時は都会から移住してきた後だったので、地元のアウトドアショップで生地を取り寄せてもらった。
生地を取りに行った時、お店の店長が「修理サービスもやってるから送ってって言ってたで」と教えてくれた。
後でカタログを見るとそんなことが書いてあった。
けれども、今日はまた自分で直してしまった。
右腿の換気口チャックが閉まらなくなったのは一年前。今日まで放置していた。先月の沢登りもそのまま行った。
けどおじさんのナマ脚がちらちら見えるのは周りに迷惑だろうし(自分なら見たくない)微妙に寒いし、換気は要らないか、、、と思って縫い合わせることにした。ほんとはチャックを直したかったんだけど、難しすぎて諦めた。
更にこれまた右腿の全面ポケットの袋部分に穴が空いていたので、ここも塞いだ。
黒いズボンに糸の色を合わせるのが普通なんだろうけど、ミシンの糸交換が面倒で、もともと付いていたベージュの糸でそのまま縫ってしまった。
沢登りは汚れてもいい服装でって教えてもらってるからこの程度の事は気にならない。
また前鬼の水に浸してあげられたらなあと、ミシンをかけながら思った。
僕は修理して使う人、物持ちのいい人が好きである。