馬場島からスゴ乗越まで

過去に、江口選手の完走報告会で、初日にスゴまでいけるかが完走ラインと聞いていたので、以降ずっとそれを意識していた。スゴ、スゴ、初日に最低スゴと。宿題でもそう思って動いていた。五色でもゴールした人がいるというのを見たことがあるが、それは体調最悪の場合の保険であって、なんとかスゴまで行きたかった。

と言ってもそれまでに越えなければ行けない山がいくつかあり、先の事はさておき、一つずつ、いかに楽しみながら越えるかを意識して進むことにした。楽しんでね、という過去の部長のアドバイスを、辛くなるとたびたび声に出しながら、自分の脳に言い聞かせて進んだ。

早月小屋小屋ではうっかりスポーツドリンクを買いそうになったが、気づいてセーフ。水と同じ価格だったので抵抗なく買いそうになった。ここで失格はあまりにも酷い。

仕方なく2リットルを買ったという報告書の内容は前回限定で、500mlが購入できた。中には2Lを買い、グビグビ飲む方もおられたが、低ナトリウム血症になり、パワーダウンを余儀なくされたようだった。

スマホを拾いに戻ったS選手に追い抜かれたり、男澤さんの熱い応援を受けたり、明るくなってくる剱岳の景色に感動したりしながら、高山病になることもなく、予定より少し早めに山頂到着。ささっと通り過ぎた。

朝日を見るためか多くの登山者がいた。

鎖場はもちろん渋滞で、ここぞとばかりに休みながらのんびり進んだ。

時々白いビブスに気づいて、お先にと言っていただく事があり、恐縮しながら進んでいた。隠れるようにしていても、登ってきた人から声をかけられ、自分の前にいる方々にバレるという事を何度か体験し、そのうち休めなくなることも出てきた。これもビブ効果か。

快晴の気持ち良い天気の中、剣小屋へ。短時間で水補給と足ケアを施し先に進む。剣沢小屋に行くまでの間に左膝に違和感を感じたが、様子が見れそうな痛みだったので看過。ここからの一気登りはいつもきつい。別山乗越あたりで応援をいただいた。

一ノ越で友人夫妻が待っていると連絡を貰っていたので、到着予測を送りながら進む。思っていたより順調かつ、体力に余力がある。

大汝はきっちり山頂ゲット。神社前は隠れるようにスーーっと通過。

一ノ越では、友人夫妻がポスターを持って待ってくれていて、とても嬉しかった。ゴールしたらポスター貰えると聞き、頑張りますと返答。この時点でゴールへの自信はまだ無かった。

そしてやっぱり一ノ越を過ぎると人が減り、獅子やザラはあまり出会わず。

五色は多くの方にまた応援をいただいた。気恥ずかしい限りである。ここで後々一緒になることの多かったH選手と出会う。が、直接話はほとんどしなかった。

選手以外にもTJARのコースを同じように行っているという人が2、3人いたが、皆小屋に泊まり始めるのを横目に、水を買ってすぐに出発。CT6時間先のスゴを目指した。

途中、これまた一緒になることの多かったT選手とも出会った。ちょうど夕焼け空の越中沢岳かスゴノ頭辺り。眠くて15分山頂に座って仮眠した後、スマホの電池が早くて困っているT選手に出会い、航空機モードにするほか、Wi-FiやBluetoothもオフにする事を提案した。山小屋のWi-Fi拾うと電池を喰うのじゃないかと。

そして、夕焼けの雲海を、これはご褒美だねって素敵な言葉で表現するT選手と再出発。

スゴ到着が見えてきた。思いの外遠く、ヤラシイアップダウンに軽く苦しめながらも、霧雨漂うテン場に到着。とっても狭い斜めのちょうど頭のあたりに岩の来る場所であったがストックシェルターを張り、初めての睡眠を取ることにした。寝る前はアミノ酸摂取と軽く食べるだけにし、早く寝る事を優先。起きてからしっかり食べることにした。4時間位寝て、お湯を沸かしてご飯を食べさっさとシェルターを畳み小屋へ。水補給、100円トイレを済ませ、かなり回復した体調で2日目をスタートした。トイレでしっかり出せたことが、幸先のよさを感じさせた。食う寝る出すがうまく行けば、その山は成功したようなものという名言めいたフレーズが浮かんできて、なんだか嬉しくなった。

続く

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です